素朴な疑問にお答えします
起業・開業関連
起業しても成功率が低いと言われていますがなぜですか?
起業自体は難しいことではありません。ただ起業して3年間存続
できている会社は3〜4割と言われています。起業して事業継続
させていくことが難しいという現実はありますが、失敗する原因
として圧倒的に多いのは準備不足。事業内容やお金のことなどを
深く考えずに楽観的な考え方や成り行きだけで進めてしまうと、
結局は立ち行かなくなってしまいます。また仲間内だけでお互い
の商品やサービスを購入し合うというだけは失敗の典型例となり
ますので、ちゃんと対外的に成り立つような事業計画を立てた上
で起業に臨んでください。
副業のススメ??
最近では副業を認める企業も少なくない。副業で得た人脈や経験が本業にも好影響を与えるし、
副業を通して経営者目線を養えるためです。特に後者の視点で考えると、現在在職中の方でこの
先起業を考えておられる場合、この期間は次のステップへの移行期間であり(現職に支障を来た
さないよう注意する必要はありますが)、最も充実したインターバルになると見ることができま
す。経験を積みながら資格を取るも良し、特に起業など主体性が求められる副業をした人は経営
者に近い目線を持てるのであり、自分にしかできない修羅場を経験すれば肝も据わるし、現職場
としても人材育成に繋がるため双方にメリットがあると言えます。ただし勝手に行う訳には行か
ないため、あくまで現職場のルールに従った上で可能な限り経験を積むということです。
開業前後の苦労とは?
日本政策金融公庫の「新規開業実態調査」によると、開業時の苦労は@資金繰り・資金調達、
A顧客・販路の開拓、B財務・税務・法務に関する知識の不足、とのことでした。逆に開業後は
@とAは開業前と変わらないのですが、Bに代わりC従業員の確保という悩みが加わります。
新規顧客を開拓することで、売上も伸び資金繰りも良くなることから@とAは相関関係にあると
言えます。また財務等の知識は、開業後は実戦経験を伴うため覚えも早くあまり苦労だとは思わ
なくなってくる反面、Cの従業員の確保や教育が悩みとなってくるようです。
初期コストがあまりかけられないんですが、事業アイテムを揃える方法はないの?
業種によっては、厨房設備や自動車、コピー機など、事業を運営する上で高価なモノを揃えなけ
ればならない場合があります。そんなときに検討したいのが中古やリース、レンタルなどです。
これらの方法は初期費用が安く抑えられるというメリットがありますが、逆に毎月の出費(リー
ス金利・保守費用・修繕費用など)は割高になるデメリットもあるため、使用する物品の特性に
合わせた方法を選択する必要があります。またリースの場合は長期間途中解約ができず、解約で
きても損害金を支払うことになります。どちらにするかの選択基準はやはり開業準備金に余裕が
あるかないかという点になります。
リースに向いているものとしては、性能上数年ごとに入れ替えが必要なPC・OA機器(コピー
機等)が代表的です。デスク・チェア・ロッカー・書庫など長期にわたって高頻度で使用ものに
ついては中古購入してもよいですし、厨房機器や自動車など特定のものに関しては、リースを使
った場合と金融機関の融資利率とリース料率の比較して購入するかリースにするかを決めてもよ
いと思われます。なお金融機関の融資利率やリース会社のリース料率は会社によって異なるため
事前に調べておくことをおすすめします。
その他、ごくたまにしか使わない(自動車・重機など)場合や逆に頻繁に手入れが必要なメンテ
ナンス品(おしぼり・玄関マット・観葉植物など)といった備品類はレンタルにされた方が相対
的にコストダウンに繋がります。
屋号って決めなきゃいけないの?
商号・屋号とは、簡単に言えば「会社の名前」のことです。デザイナーやフリーランスの場合は
商号・屋号をつけずに個人名で活動されることも多いのですが、店舗や事務所を構えたり、組織
で活動するのであれば、商売の顔になる称号・屋号をつけることをおススメします。
商号・屋号をつけるポイントとしては、@相手が覚えやすく言いやすいものがよく、A事業内容
を商号・屋号に入れたりすると業種を理解してもらいやすいです。またB長すぎるものやインパ
クトを優先しすぎた突飛なものは、言いづらかったり、第一印象や信頼感を損なう恐れがあるの
で避けたほうが無難です。
開業届を出すか出さないか・・・
個人事業主であれフリーランスであれ、何かしらの事業を始めようとする際には『開業届』なる
ものを税務署に出す決まりがあります(事業開始から1ヶ月以内)。とはいうものの出さなかった
場合はどうなるのか・・・特に何もありません。事業での申告も問題なくできます。白色申告で
やりたいと言う方はこのままでもいいのですが、青色申告したいと言うならば「青色申告承認申
請書」という届出の方がよっぽど大切です。これがないと税金上の恩典が受けられません。
その他開業届を提出するメリットといえば・・・・、
@屋号を決めれるので、金融機関で屋号のついた事業用通帳が作ることができます。
A表立ってに事業を開始した証となりますので、対外的信用が上がります。
反対にデメリットもあります。
@失業状態ではなくなるため、失業保険がもらえなくなる可能性があります。
↓
むしろこの影響が大きいです。もらっている方もしくはもらう予定の方は、資金的にも余裕
ができますので失業給付をもらい終わってから開業届を出すことをおススメします。
SNSやホームページって必要なの?
そもそも、起業したばかりのビジネスや小規模な事業者の大きな弱点として知名度の問題
があります。要は世間にはほとんど知られていないということです。もともと一定数の
顧客をもって起業したのならまだしも、情報発信をしていかなければ、存在すら認知して
もらえません。また大企業のように豊富な資金でテレビCMを打つこともできないため、
あまりお金のかからない複数の方法を組み合わせてコツコツと露出度を高め、認知度を上
げていくのが無難と言えるでしょう。ただ人が触れるメディアはそれぞれで、1つのメデ
ィアで確実にヒットを保証するものもありません。「メディアミックス」という言葉があ
るように、広告をするときは異なるメディアを組み合わせてメディアの弱点を補いなが
ら、ウェブとリアルの垣根を越えしっかりと届けたい相手に届くようなメディアミックス
を行っていくことが起業時の集客では重要で、絶対的といって良いほど必要なものとなり
ます。例えばホームページは現実に会って名刺交換をした方が自社の内容をより具体的に
知っていただくには絶好の媒体であると言えます。
バーチャルオフィスってどうなの?
近年、ワークスペースを一切設けずに住所と会議室の利用権だけを借りるスタイルのオフィス形
態がでてきました。事業所の所在地を一等地にすることができ、賃料も格安で自宅住所も公開せ
ずに済むため利用する人も増えております。ただ、悪用されるケースが頻発したことから年々規
制が厳しくなっており、許認可の関係では事業が認められない場合があったり、創業融資の借入
審査が通らない、銀行口座の開設や健康保険の加入が困難というのデメリットがあり個人開業の
方は注意が必要です。
なお、創業時から法人を設立して事業開始を考えておられる方は、お一人で設立してお金も借り
ず、許認可も関係ない、しかも現金でしか商売しませんという相当特殊な業態でない限り、通常
の法人では手続きが困難を極め「絶望的」に近いので絶対におススメしません。
ビジネス用クレジットカードって作った方がいいの?
創業・会社設立したばかりの時期にカードを取得するのはハード利が高いと考え二の足を踏んで
いる人も少なくないと思われます。しかしビジネス用カードは経費管理の効率化をはじめ、創業
期の重要課題であるキャッシュフローやコスト削減など多方面において大きなメリットにつなが
りますのでぜひお勧めします。
@経費の処理・管理を一本化できる。
A支払いの猶予が生まれキャッシュフローが改善する。
B経費精算業務にかかる時間と労力を大幅削減できる。
C大きな支払いを行うことが多いので、場合によってはさまざまな特典や優待サービスとして還
元されることがあります。
フランチャイズに加盟しようと思うのですが注意点はありますか?
フランチャイズに加盟しての起業は、自力での起業に比べればリスクが少ないという考え
方もあり人気です。その一方でフランチャイズ特有の潜在リスクを認識し、トラブルに
ならないよう慎重に検討する必要があります。
まず知っておかなければならないフランチャイズのルールとしては、
@毎月売上の数%を本部に納めるなければならない。A自分で経営方針を決められない。
B契約を中途解約した場合違約金が発生する・・・・などがあります。
その上で、以下のようなことに注意点してください。
@そのフランチャイズが優良でビジネスとして成立しているか、また契約の締結と加盟金
の支払を急がせないか。
A本部が提示する粗利益金額が本当に正しいのか。
B高額なロイヤリティが設定されていて本部だけが儲かる仕組みになっていないか。
C良い立地は直営店、それほどでもない立地はフランチャイジーという構図になっていな
いか。
一度に多額の加盟金を支払って設備投資してしまうと、もう引き返せません。ご自身の目
で実際の他の店舗見て、第三者の専門家にも相談されると手堅いです。
税理士やコンサルタントなどの専門家って頼んだ方がいいの?
税理士やコンサルタントを顧問としてつけるかどうか悩む方も少なくありません。これら
の専門家は起業時にあらゆる疑問について相談でき、経営者のバックアップとして不安を
解消してくれるので、起業家は本業で売上を上げることに専念する体制ができるようにな
り安心です。
また事務処理のプロに任せることで経理スタッフの人件費をカットする役割もあります。
法人は設立当初から顧問をつけるのが一般的ですが、個人事業の場合は法人ほど経理業務
が煩雑ではないため、考える方が見えますが、無理に自分でやって後で失敗しないために
もリスク管理を含め専門家に任せた方が安心ですし、結果的に効率が良いです。経営につ
いてのアドバイスを必要とするか、本業に専念するために事務機能を外注したいか、パー
トナーとして積極的にレスポンスしてくれるか等を考えて依頼するかどうかを決定しましょ
う。
法人化関連
そもそも「法人化」って何?
そもそも”法人化”とは何でしょうか。法人とは、法律に
よって「人」として認められた団体のことです。ある団
体が法人になると”法人格”というものが名前の前か後ろ
に付きます。最も有名な法人格は“株式会社”です。団体
といっても、1人でも法人になることができます。個人
経営と法人経営での大きな違いは経理処理が大きく異な
る点にあります。個人で経営している事業を法人が経営
することに変更することを“法人化”と言います。
一言で法人化といっても良い事ばかりじゃありません。
法人化と聞くと、節税や取引先・信頼面での幅が広がるなど数々のメリットが多いのはよ
く知られている通りです。逆に設立費用や初期費用がかかる、社会保険の加入や赤字でも
税負担があったり、事務作業が増加する、会社を解散させた場合にも税金がかかる場合が
あり、簡単に辞められないというデメリットもよく書かれている通りです。
個人事業の延長の場合や個人事業感覚で法人を設立して事業を始めるといった方にはむし
ろ向いていないことはあまり言われていないと思われます。その一つとして、法人という
「財布」ができることで社長は会社から報酬をもらう以外に個人的支出をすることはでき
なくなるので私物化すると後でそのしわ寄せを解消するのが困難です(丼勘定では話にな
らないということです)。また当然ですが税務調査なども厳しくなると言われてます。
したがって、会社を設立して事業をしようとする場合は、メリットが大きいと同時に、当
然ですがそれなりの覚悟が必要になるということになります。成り行きやいい加減な気持
ちで安易に法人化してしまうと後から辛い思いをしかねませんので、しっかりと検討した
上で法人化をお考えください。
どのタイミングで法人化ってすればいいの?
取引先や許認可等の関係上どうしても法人で起業せざるを得ない場合や、すでに顧客の
メドがついており、スタートからある程度売上・利益が予測できている場合を除き、まず
は個人事業から起業するのが通常です。
その後法人化するかどうかの大きな分岐点の目安の一つとして、所得と税金の問題があり
ます。個人での稼ぎは大きくなると所得税は累進課税(所得によって税率が変わります)
ですので税額が莫大になってしまいますが、逆に利益の少ないうちは個人の方が税率は
少ないということになります。したがって下手に最初から法人化すると、利益が少ないに
も関わらず無駄な税金や経費がかかってしまうためリスクを最少に抑えながら、ビジネス
を行っていくために年間利益(所得)が500〜800万円程度を安定して超えてくるような
場合もしくは消費税の納税義務を考えて当期の売上高が1000万円を越えそうになった翌年
あたりが法人化のメドと言えます。
資本金1円で会社を作ることができると聞きましたが注意点はありますか?
最低資本金制度が撤廃されて、資本金1円でも会社を作ることができるようになりました。
しかし、資本金=会社の元手が1円ということになり、事業資金はおろかペン1本すら買う
ことができません。ですので実際に事業を行っていくことがかなり困難です。また創業融
資の審査も通りませんし、許認可も一定の資本金がないと許可が下りないものがあり、一
部の会社ですが取引の条件に資本金額を付けることもあります。要は制度上可能になった
だけで、実際の取引上では現在も取引する会社の信頼度のバロメーターの一つであること
には何ら変わりがないということなのです。会社設立当初、どうしても資金的に余裕がな
くて少ない資本金で起業した場合、事業が軌道に乗ってきた折には増資を検討してもよい
のではないでしょうか。
株式会社と合同会社、どっちがいいの?
違いを簡単に書きますと、株式会社は経営者≠株主(所有者)であるのに対して合同会社
は経営者=出資者(所有者)です。またどちらにも法人格があり税制面等や有限責任であ
る点では差はありません。株式会社に比べ合同会社の方が会社組織としての体制づくりや
利益配分の自由度が高い点、設立の際に合同会社の方が書類が簡素化され、費用の面でも
安いです。反面取引先からの周知度や信用度は合同会社の方が一段下がります。長い目で
見て、信用力アップによる営業上のメリットを享受できるのであれば、設立コスト差は吸
収できるでしょうから、どちらかというと株式会社がおススメです。
自宅を本店にしたいのですが・・・できますか?
売上が安定するまでの間、自宅を本店所在地として登記できれば賃料コストが抑えること
ができるという点ではメリットが大きく、自宅を本店所在地として登記すること自体は可
能です。
しかし居住形態によってトラブルに発展する可能性があるので自宅が持家でないなど次の
ような場合は特に注意が必要です。なお、認められるかどうかは事業内容・実態などによ
りケースバイケースです。
@賃貸住宅の場合・・・基本的に事業目的での使用を禁止しておりますので管理会社や
大家さんに確認する必要があり、黙ってやった場合は契約違反
となります。
A分譲マンションの場合・・・同じく管理規約上、事業目的でのしようが禁止されている
可能性があるため管理組合に確認する必要があります。
B間借りする場合・・・賃貸オフィスなどを間借りする場合、転貸(又貸し)となり、
借りている所とその大家さんの間で契約違反となる可能性が高い
ので、せっかく間借りさせてくれる方に迷惑がかかってしまいま
すので、こちらも事前に管理会社や大家さんに確認する必要があ
ります。
その他自宅を本店として仕事をすることののデメリットとして、名刺等で自宅住所を公開
することになり親族のプライバシーが守れない可能性がある点、仕事とプライベートの空
間的・時間的区分が難しい、許認可によっては自宅では認められない場合がある、打合せ
の場所の確保が難しいなどがあります。
知人が出資してくれるのですが、何か気をつけることはありますか?
出資をしてくれる人がいるのはすばらしいことです。ただ経営者として考えた場合、以下
の点において考えなければなりません。
最も大切なことは安定的な経営状態を作るための議決権割合の確保です。出資総額の3分
の2以上を持っていれば他の出資者からの予期せぬ議決を防止できます。逆に外部の出資
者が割合を多く持った場合、実質的に経営権を持たないということで「雇われ社長」の立
場になる可能性もあります。
また出資の受け入れ方によっては、創業とみなされず融資が受けづらくなることもあった
り、助成金に影響を与える可能性もありますので、そういったことを検討されている方は
始める前に専門家に相談されることをおススメします。